週刊シネママガジン今週のスターメグ・ライアン
メグ・ライアン
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メグ・ライアン

 「トップガン」(86)、「恋人たちの予感」(89)、「キスへのプレリュード」(92)、「フレンチ・キス」(94)と、人気の軌道が階段状にトントントンと上がっていく女優だ。僕のまわりでもかなり受けがよく、僕一人だけがメグの良さをわからなかったみたいだった。僕の場合「好きな役者」=「良い映画に出ている役者」ということになるので、作品自体がよくコケるメグ・ライアンは(出演しておいて出番が少ないこともしばしばあるため、メグ目的で作品を見ると後悔することになる)、いまいち好きになれないところがあった。ましてや、僕はトレンディドラマやラブコメに拒否反応を示す「もてない君」で、女優は気品がなくちゃいかんと思っていた若造だったものだから、世俗的ロマンチック・コメディのナンバー1スターの座を築きあげたメグ・ライアンのことは敬遠しがちだった。あれからだいぶんこの手のコメディ映画の良さがわかってきたので、ようやく僕もメグに注目してきたところだ。メグの作品は邦題もなかなかいいしね。

 メグを誰の直系とするかを議論するのは面白い。まず第一候補にはキャンディス・バーゲン。「ベスト・フレンズ」(81)でメグの母親を演じていた女優だ。母と娘という関係はぴったりだったが、これはただ面影が似ているだけだった。第二候補はデボラ・カーである。「めぐり逢えたら」(93)は「めぐり逢い」を地で行く作品で、メグはデボラにあたる役柄を演じた。しかしこれも古い女性像と今風の女性像という大きな違いがあり、論外である。第三候補はキャサリン・ロス。キャサリンはアメリカン・ニュー・シネマで新しい女優像を打ち出した女優である。キュートなそばかすと、見詰める眼差しが可愛いらしく、この雰囲気はメグにも通じる。キャサリンのファンにはメグのファンも多く、メグをキャサリンの直系とする考えは最有力である。それと、僕個人的にはジャニス・ジョプリンの名前もあげたい。少し口元が似ているが、ロックとドラッグとヒッピーの時代の象徴であるジャニスの生き様は、時代時代のギャル・メイクをいつも見せつけてくれるメグの役柄の中にも見られる。僕はメグが「ドアーズ」(91)に出演したのも必然だったように思えてならない。古いところをたどれば、メグの系列は、キャロル・ロンバードまでさかのぼる。

 僕は以前男優の進化論を6つの型に分類したことがあったが、今度は女優の進化論を90年代のトップスター4人の名前を借りて、ジュリア・ロバーツ型、メグ・ライアン型、ウィノナ・ライダー型、デミ・ムーア型の4タイプに分類してみよう。つまり、今と昔の女優について語るとき、この4人に例えて説明すれば、どれだけわかりやすいか、ということ。たとえば、キャメロン・ディアスやレニー・ゼルウィガーはメグ型、アンジェリーナ・ジョリーやキャサリン・ゼタ・ジョーンズはデミ型になる。これはあくまで僕の考えなので、反論があってもムキにならないで欲しい。人を型にはめるのは失礼かもしれないが、僕が言いたいのは、それだけメグ・ライアンの魅力が普遍的だということだ。

2003年9月6日