スウェーデンには素晴らしい女優の原石がたくさん眠ってるもんだと、改めて実感してしまった。思えばスウェーデンからどれだけのハリウッド・スターが誕生したことだろう。ここに紹介するアニタ・エクバーグもスウェーデンから渡米してハリウッドで映画女優になった代表者のひとりである。渡米のきっかけは、ミス・ユニバース・コンテストに出場したこと。エクバーグはスウェーデン代表だった。デビュー後はボブ・ホープと海外慰問ショーに出場し、人気も急上昇。やがてご存じフェデリコ・フェリーニに気に入られて、イタリアに連れて行かれて、「甘い生活」(60)にハリウッド女優の役で出演。これ一本にしてフェリーニ映画の花形女優になってしまった。
フェリーニといえば、やっぱりアニタ・エクバーグ。「甘い生活」の他にも「ボッカチオ'70」(62)、「道化師」(70)、「インテルビスタ」(87)に出ているが、しかしこの人はとんでもない不思議な役が得意な人である。お色気コメディ「ボッカチオ」ではなんとビルよりもでかい巨大美女の役で登場。ここまでくるとお色気を通り越してすごい領域に踏み込んでしまってる。エクバーグもすごいが、それよっかフェリーニの女道楽ぶりに恐れ入る。しかしもっと驚いたのは「インテルビスタ」。若い頃の美貌はどこへいったやら、大変なおばさんになりはててしまっている。そんな彼女が「甘い生活」の頃の自分を見て泣いているシーンがあるのである。あれはエクバーグ一世一代(この言葉では語弊があるかな)の名演技であった。
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