アンデルセンの童話が原作。雪の女王に連れ去られた男の子を助けるため、小さな少女ゲルダがたった独りで旅に出る物語。少女の前に次々と立ちはだかる困難。ゲルダはただひたすら前へ前へと突き進んでいく。そのけなげで純粋な姿が、大いなる感動を呼ぶ。
 ディズニーの「白雪姫」、ポール・グリモーの「やぶにらみの暴君」(オリジナル版)と並び、ストーリー・アニメの最高傑作と称される作品である。ソ連の<雪どけ>時代の映画としても、歴史的価値は大きい。添え物になりがちなヒロインを、戦うヒロインに仕立て上げたという意味も含めて、日本では、宮崎駿に影響を与えた作品として知られる。そういえば、「千と千尋の神隠し」の千尋にもゲルダの面影があった。
 吹雪の映像などは、美しく、冷たい。いかにも旧ソ連らしい写実的映像美が目を奪うが、滑らかに動く登場人物たちのフルアニメーションはもっと素晴らしく、少女ゲルダのか細い腕の動き、髪の毛の柔らかさ、大きな青い瞳の優しい表情。ディズニーのあの誇張したアクションとは対照的に、抑えた動きがなんとも可愛らしい。ストーリーは単純だが、だからこそ、ゲルダのその愛くるしさが一段と際立って見える。
 今、日本は美少女キャラの天下だが、ゲルダを見ていると、日本の美少女のあのわざとらしいブリッコが、やたらと不愉快なものに思えてならない。もはや日本アニメにまともな少女は千尋しかいないのか。日本は今また、「雪の女王」を再評価すべき時にある。
 


▲愛さえあれば怖くなんかない。少女の一途な姿が胸をうつ。


「雪の女王」DVD

1957年製作 ソ連
監督・脚本:レフ・アタマノフ
原作:アンデルセン

2004年4月18日