1950年アメリカ映画
監督:ビリー・ワイルダー

これはハリウッドでは神格化されちゃってる作品ですね。トーキー映画の台頭で映画会社から見捨てられたサイレント時代のトップスターが、カムバックしようとする話で、暗くてサスペンスっぽい趣の映画ですが、ハリウッドの内幕がじっくり描けてて興味深いですよ。主演女優が実生活でも本当に見捨てられたサイレントスターのグロリア・スワンソンてところも凝ってますね。バスター・キートンもそれらしい役で出てきますよ。
監督のビリー・ワイルダーはただでもすごい監督ですが、彼がハリウッド一の映画監督と言われている訳は、たぶんこの作品を作ったからなんじゃないかとも思うんです。

 
1982年日本映画
監督:深作欣二

時代劇「新撰組」の撮影風景を描いた作品です。目立ちたがり屋の二枚目スター俳優風間杜夫と、彼の子を身ごもった美人女優松坂慶子と、二人のことを慕っている下っ端役者平田満(ジェームズ・ディーンにも憧れている)の3人が織りなすハチャメチャなコメディ映画ですが、ラストにはもう涙涙、ボロ泣きです。
主演の3人の演技うますぎです。松坂慶子ハマりまくってますよ。3人の歌う主題歌もいいですね。古き良き時代を偲ばせる歌で、一度聴いたらやめられません。松竹ホームビデオのテーマ曲にもなってます。
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1973年フランス映画
監督:フランソワ・トリュフォー

フランソワ・トリュフォーは、映画マニアが高じて映画評論家になって、それから映画監督になったんです。その彼が、映画の中で映画業界について描かないわけがないですね。他の映画では我慢していた映画への熱い思いを、この作品一本に託してやりたい放題やっていますよ。トリュフォー自身も映画監督の役で出てて、映画以外何も描いてないといっていいくらい全編映画づくしの映画ですね。これほど映画にこだわった映画はもう二度と見られないでしょう。僕はこれがきっかけでトリュフォーのファンになったんです。他の監督もトリュフォーみたいに一本くらい映画の映画を作ってくれたら面白いと思うんですけどね。

 


1987年イタリア映画
監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ

D・W・グリフィスの元で、「イントレランス」の巨大美術セットの建設を任されることになった若い二人の職人兄弟の半生を描いた物語です。やがて兄弟はそれぞれ違う道を歩んでいくんですが、最後に二人が再会するのは戦場でなんです。このラストは泣けますよ。
グリフィスのそっくりさんが出てきたり、主人公二人の恋人の名前がチャップリンの共演女優と同じ名前(エドナとメーベル)だったり、映画ファンなら思わずクスクス笑ってしまうようなシーンもあります。グリフィスはやっぱりド偉い監督だったのだと、僕はこれを見てようやくわかりました。

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