ホードマンの映画は「生きものたちの庭」を見てもわかるように、キャラクターの造形が面白いが、観客の心を本当に捉えていたのは、デザインよりもむしろ動きだったのではないか。「マトリオスカ」はそれを証明するホードマンの初期の傑作。既存のおもちゃを使うアイデアは、意外と誰も気づかないものである。お茶目な音楽に乗せてロシアのおもちゃが踊り出す。ただそれだけの作品にして、その動きがあまりにも可愛いものだから、見ているうちに胸がぽかぽかと温かくなってくる。これだけでこんなにも素敵な気持ちにさせてくれるなんて、天才である。
|