週刊シネママガジンコラムなぜ日本人は洋画を見るのか

なぜ日本人は洋画を見るのか

 僕は日本人だ。日本を愛しているし、日本国民が大好きだ。それなのに、僕はハリウッド映画ばかりを見ている。僕に限らず、日本人は外国映画が好きである。「テレビ」というメディアの9割以上は日本製の番組が占め、小説や音楽製品も半分以上が日本製である。しかし、日本における「映画」のマーケットの割合は、外国製のものが圧倒的に勝っているのである。日本人だから、青い目のお姉さんよりも純和風の女の子の方が可愛いと思って当然のはずが、日本のバラエティ番組や歌番組を見て喜んでいる日本人が「映画」となると邦画ではなく洋画を選択し、青い目のお姉さんの演技にもらい泣きするのである。これは改めて眺めると不思議な光景だ。
 まずは僕自身がどうして洋画派なのかを思い起こしてみよう。これは、自分でいうのは変だが、僕がロマンチストだったから。邦画よりも洋画の方がフィクション色が強いと信じていた僕は、洋画を見ることで、いっときの間、別世界を旅することができた。そのワクワクが、僕をこんな映画ファンにさせた。僕がとりわけSF映画にのめり込んだのも同じ理由である。僕にとって映画とは、仮想現実体験である。

 他の人は、なぜ洋画を選んだのか。単純に、洋画の方が金がかかっていて、邦画よりもよくできているから見るのか。それとも、僕のように、いっときの仮想体験を求めて見るのか。これにはさまざまな回答がありそうだ。
 ともかく、日本では「映画」ほど圧倒的に外国製のものが受け入れられている製品はない。日本人はアメリカのテレビ番組やWebのことはよくわからないが、映画のことならよく知っている。日本人は、他国の文化を、何よりも映画から学ぶ。日本人が青い目のお姉さんに魅力を感じるようになったのも映画の影響である。大袈裟かもしれないが、「映画」は日本と世界を結ぶ架け橋になっている。僕はますます「映画」が、特別に素晴らしい文明の利器に思えてならないのだ。

 誤解しないように書き加えるが、僕は日本映画を非難しているのではない。日本映画にはそれだけにしかない良さがあるし、「日本人だからこそ、ここが楽しめる」といったお得な面もある。そのことについては、また別の機会で。

2003年9月28日