魯迅と肩並べる
俳優レスリー
「文化人」賛否
2003年7月10日(木) 中国【朝日】
中国の新聞と雑誌、ニュースサイトなどが、読者投票をもとに6月末に選んだ中国の「20世紀大文化人」で、4月に自殺した香港の人気俳優兼歌手レスリー・チャンさんが7位に入った。
1位魯迅、5位老舎といった文豪ら中国文化界を代表する顔ぶれと並んだとあって、賛否両論が出ている。
新聞紙上には、「レスリーは、10年後でさえ、人々の心に何のイメージも残せない」などと娯楽文化の隆盛を嘆く意見が載った。「大衆のための文化も重要。高雅な文化と優劣はない。相互に補い合うべきだ」との擁護の声もあがる。
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6月末に発表されたことを、今頃になって記事にしたのだから、このニュースはほんの些細なことなのだろう。しかし些細なことほど、面白いネタになることもある。
皆さんはこの記事を読んで、賛否どちらを支持しただろうか。私はどちらかといえば反対派である。「20世紀」というステージは広い。「20世紀10大文化人」と題したからには、普遍的な名声を得る人物たちを選ぶべきではないだろうか。たとえば100年後、200年後も名前が残るような人物こそふさわしいだろう。レスリー・チャンが10位内に入った原因は、彼の死のショックが今も鮮明に記憶に残っていたからとしか考えられない。レスリーがこの10年間で最高の中国人俳優だったことは否定する気はないが、果たして今から5年後に同じ投票をして、レスリーが10位内に入るかは疑問である。先日自殺したからといって投票するのでは不公平である。
映画生誕100年を記念してアメリカで選ばれた映画史上ベスト10には「シンドラーのリスト」が入っていた。これは、ちょうどその時期に「シンドラーのリスト」がアカデミー賞を受賞していたからタイミングが良かっただけだ。
「20世紀の10大ニュース」というテレビの企画では、「アポロ月面着陸」「広島原爆投下」を抜いて「阪神大震災」が1位になった。次点は「地下鉄サリン」である。投票者の視野は狭い。
こういう「20世紀の○○」を決めるからには、少なくとも1901年から冷静に考えて選出すべきではないか。欲を言えば、19世紀の先祖あるいは21世紀の子孫の立場になって、宇宙から人類の歴史を見詰めなおして考えてもらいたい。
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