週刊シネママガジン作品紹介B級映画ラボスーパーサイズ・ミー
スーパーサイズ・ミー

 訴訟大国であり、肥満大国でもあるアメリカで、誰かさんが「自分が肥満になった理由はマクドナルドのせいだ」として訴え、敗訴になったことをヒントに、「1ヶ月間マクドナルドだけの食べ物を食べ続けたら人間はどうなってしまうのか」と、その答えを証明するため、発案者のモーガン・スパーロック自らが実験台になってそれを映画にしてしまった。これだけを聞くと、さぞかししょうもない映画だろうと思っていた。ところが、これが予想以上に良くできた作品で、面白い。よくこれだけのテーマをああやって膨らまして見せることができたと思う。実験結果もうまい具合にあらぬ展開になったものだ。
 マクドナルドって日本じゃ二つの略し方がある。マックかマクド。マクドはマイノリティだけど、僕はあえてマクドと書こう。マックと書くと、仕事柄アップルコンピューターが真っ先に浮かんでしまうもんで・・・。それと、大阪の人にマックといったら「マクド!」と怒られてしまうもんで・・・。
 僕もマクドが大好きで、週に1回は行っている。この映画によれば、週に1回以上行くお客は「ヘヴィ・ユーザー」とのこと。なんだよ、俺もヘヴィ・ユーザーかよと、ちょっとゾッとした。僕がアメリカを旅したときに思ったのは、太っている人がとにかく多かったこと。それも皆お相撲さん級に太っているのだ。ハリウッドのメジャー系映画の中ではエキストラは全員痩せている人しか出させてもらえないけど、現実は肥満だらけ。
 僕もアメリカを旅してたころは毎日ファストフードに入っていた。アメリカのFFは日本とは比べられないほどうまい。食べていて幸せを感じるくらいだった。今からでも僕はアメリカに行ってまた本場のハンバーガーにかぶりつきたいくらいだ。僕がコーラを飲むようになったのはアメリカのFFのせいである。アメリカに行くまではコーラなんて年に1回くらいしか飲まなかったが、今ではしょっちゅう飲んでいる。アメリカで味を覚えたからだ。ハンバーガーにはコーラは必須。一番相性がいい。そして僕の腹もだいぶ出てきた。間違いなく食生活が原因だと思う。
 映画と関係ないことばかり書いてしまったので、ここから本題。これが面白いのは、監督がごくありふれた普通の人だということだ。とくに映画製作の技術を持っているとも思えないし、普通に仕事もしているし、普通に生活もしている。だから良い。普通の人だからこそ、実験台になる資格があったわけだ。実際彼は朝昼晩マクドを食っていたが、普段の生活は何も変えていなかった。僕が感心したのは、こういう普通の人が、映画を作ってしまったことだ。その行動力は羨ましいくらいだ。しょうもないテーマだが、きちんと映画としてまとまっているし、ドキュメンタリーの見本にしてもいいだろう。しょうもないテーマを大まじめに問題として捉えるところは、天才的とも言える。アイデアを出すことと、そのアイデアに自信をもつこと。それができれば普通の人にでもチャンスはあるのだと勇気をもらった思いだ。唯一悪いと思った点は、いささか個人主張的な内容になっているところかな。ドキュメンタリーは本来は客観的であるべきだと僕は思うからだ。
 

スーパーサイズ・ミー

Super Size Me
製作年:2004年
製作国:アメリカ
監督:モーガン・スパーロック
上映時間:99分
「スーパーサイズ・ミー」DVD

2005年10月9日