週刊シネママガジン作品紹介B級映画ラボサウンド・オブ・サンダー
サウンド・オブ・サンダー

 こんなに気合いの入ったB級映画を映画館で見たのは久しぶりである。狙っていたのかどうかはわからないが、全編に漂うB級オーラに僕は満腹状態。一般人にはとてもすすめられるようなもんじゃない。本当に安っぽい内容なんだから。

 まず最初の見せ場、ティラノサウルスが出てきて、観客席に向かってどうだぁと吠える。このティラノサウルス、どっからみてもCGってことがバレバレで、映像がかなり安っぽい。僕はこれはジョークか何かだと思った。きっとこれは主人公の御一行がテレビゲームをやってるシーンか何かだろうと思ったもんだ。ところがこれは本物のティラノサウルスのつもりらしい。ふざけてるように見えても作ってるスタッフの方は大まじめ、真剣そのものである。ケナゲ〜。がんばってるな〜。僕はこのいかにも嘘っぽいティラノサウルスを見て一気にこの映画にのめり込んだ。未来カーのデザインも、その合成画面もひどいものだが、スタッフが持てる力以上のものを発揮せんと努力した様子は存分に伝わってくる。

 これもよくあるタイムトラベル映画のひとつだが、タイムパラドックスの描き方が他の映画とは全く違う新解釈で、なかなか面白い。この映画の世界では、誰かが過去を変更したところで、現代の世界は一見何の変わりもない。その後、何度か訪れる巨大な時間の波動を浴びるたびに、少しずつ過去と現代のつじつまがあわせられていき、世界がじょじょに変化していく。このじわりじわりと見せていくやり口がユニーク。ストーリーも、少年向けのアニメ風で、いかにもかっこいいシーンばかり。主人公の御一行が一人また一人と殺されていくシーンも、なんか男のロマンを感じちゃう。次から次へと襲い来る新種の怪物たちも大いに盛り上げてくれる。そんなわけで、僕自身は、童心にかえって結構楽しめた映画である。

 ベン・キングスレーがこんな映画に出てくれたのも喜ばしいこと。今回もベンちゃんがかなり良い感じ。「スピーシーズ」といい、この人、意外にSF好きなのかもしれない。あと、「ラブ・アクチュアリー」に出てたエロ可愛い姉ちゃんハイケ・マカッシュがここにも出てたのが個人的趣味にはまりました。
 

製作年:2004年・アメリカ
原題:A Sound Of Thunder(いかずちの音)
監督:ピーター・ハイアムズ
出演:エドワード・バーンズ、キャサリン・マコーマック、ベン・キングスレー
上映時間:102分

2006年6月12日