テーマ曲「モア」は僕にとっては映画史上ベストワンの名曲。ほんと、よくできた美しい曲で、アンディ・ウィリアムズが歌詞を付けて歌ってからというもの、映画をさしおいて、永遠のスタンダード・ナンバーとなった。
それに反して、映画の方はタイトルは「世界残酷物語」と、いかにも見世物的なものであった。これは当時、ドキュメンタリーとして売り出されて大当たりをとったが、「やらせ」として不当に評価されてしまった。僕はその点に疑問がある。これがやらせかどうかなんて、作品の価値とは何も関係がなく、論じるだけバカバカしいからだ。ドキュメンタリー・タッチのフィクションとして見たとして、この映画が面白いことには変わりはないではないか。
これは、いわゆるモンド映画のはしりになったと言われている映画だが、やはりタイトルのせいで観客が先にグロテスクなものを想像してしまったため、これまた不当に評価された感がある。実際は、世界中の人々達の生活をユーモラスなタッチで表現しているだけで、これが残酷だからつまらないとか残酷じゃなかったら物足りないとか、そういう風に決めつけるのはバカげている。オムニバス形式でつづる個々の映像の奇抜さ、そこを楽しむのが正しい見方じゃないか。カメが砂漠で朽ち果てるなんて、まったくよくできたシナリオである。あたかもドラマをドキュメンタリーっぽく演出している芸が面白いのだ。
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