やたら大袈裟なタイトルだが、今は「シーバース」というタイトルで知られるデビッド・クローネンバーグの出世作である。これが日本初登場のときは、こんなB級らしいタイトルだった。内容は、怪物が人間の中に寄生し、キスとかセックスを通して他人にもそれが感染していく、いわゆる宇宙生物侵略ものをゾンビ映画にミクスしただけの作品だが、後に神格化されるクローネンバーグの内蔵趣味はこのときから炸裂。ホテルだけを舞台にグランド・ホテル形式で描いているが、恐怖描写もなかなか決まっていて、ラスト・シークエンスで、たった一人だけになった主人公が、なんとかしてホテルを抜け出そうとする閉鎖的なサスペンスにはびくびくさせられた。
とにかく雰囲気が不気味。カメラワークしだいでは普通のホテルの映像もやたらと不気味にみえてくる。生理的な気色悪さというか、とにかくこれは才能としか言えない。まだ記憶に新しい「イグジステンズ」でもこのスタイルを変えてなかったところを見ると、クローネンバーグはこういうもぁあんとした雰囲気が好きなのだろう。
B級映画の楽しみとして「女優」 があげられる。B級映画は、メジャー映画とはまったく趣味の異なる女優がでてくるから僕もいつもそこが楽しみである。この映画の女優(右写真)もまたかなりB級臭さがぷんぷんする個性派女優で、決してメジャー映画の主役をはれるような女優ではないが、僕はこういう素人くさい女優が大好きである。
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