DVDのジャケットに偽りあり。それまで何十ものキョンシーたちを相手に法力で戦い抜いてきた霊幻道士の雄姿がでーんとあしらわれたジャケット・デザインであるが、これが実はキョンシーとは全く関連性なし。これをキョンシー・シリーズとして売った日本の配給会社の詐欺まがいの手口からB級ぽい。
開けてみると、これは現代社会を舞台にした香港ポリス・アクションである。「なんだ、キョンシーは出ないのかよ」というムカつきもすぐに忘れてしまうほど、なかなか良くできた映画である。右写真の下手くそなカメラアングルを見てもわかるように、あいかわらず香港映画はアマチュアくさいが、ハリウッド映画もある程度真似しており、勢いだけで最後まで見せてしまうところはアッパレ。もちろん、香港映画らしいジョークにも溢れ、カンフーあり、法力ありで、香港映画ならではの中毒性は健在である。子供向きと思われるが、ギャグの芸が細かいので、大人が見てもなかなかハマる。
主人公が妖術で操られた人間と戦うところなど、なんだかマヌケっぽいが、それでいてアクションは派手で、香港映画はこういう無茶苦茶さがやけにうまい。圧巻は日本人の美人妖術師と壮絶なバトルを繰り広げるところ。かなりしぶとく、物々しい戦いである。机や床板など、色々なものが次から次へと飛んできて、まるでテレビゲームであるが、ここまで飾り立てるとさすがに壮観である。
バカ正直な男と、女好きの男。2人のトラブルメーカーの息もぴったり。この2人の凸凹ぶりと、嘘みたいなカンフー達人のタフさがミックスして、極上のアクションが生まれる。さらにそこに黒髪のカワイコちゃん(無駄にミニスカをはいて足をちらつかせるところが笑える)が加わって、恋の争奪戦あり、ほのぼの劇ありで、見事なバランスを保っている。4人でひとつ屋根の下、共同生活する様子は、男3人女1人のちょっとしたコントになっており、面白い。キョンシー映画ほどの巧妙なギミックはないけれど、なかなかの掘り出し物ではあった。
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