有毒液体の中に頭からつっこんでしまった主人公の身体はどろどろになってしまうが、それと同時にスーパーマン並の力を得るというのがシリーズ第一作の内容らしいのだが、タイトルがレアなため、今となっては観賞不可能。ここで紹介する続編は、毒毒モンスターが東京に行く話で、日本のAV女優と共演する。話題性は1作目よりも高いので、近くのレンタルビデオ店のスプラッター・コーナーに置いてあるかもしれない。
　日本ロケはなかなか本格的である。ハリウッド映画の中に出てくる日本というのは、たいてい国侮辱的なものが多いが、今作はカメラワークに工夫がないぶん、妙に日本の町並みの風景に親しみを感じる。80年代後期の日本の文化がありのままに見えてくる。桂木麻也子の当時のファッションも可愛らしく、歩行者天国で踊ってる若者たちも懐かしい。かつてヴィム・ヴェンダースが「東京画」という映画を撮ったことがあったが、今作と「東京画」は同等に評価していいかもしれない。毒毒が日本人になじむため、七三分けのカツラをかぶり、メガネをかけて、カメラを首にさげるあたりも笑える。わけもなく次々と毒毒に襲いかかる敵キャラたちを、鉄板で挟んでたい焼きにしたり、切り刻んで刺身にしてしまうお馬鹿センスには脱帽である。
　大道具には結構金をかけているようだが、スモークなどの演出はかなりチャチ。カメラワークがシロウトっぽいため、すべてのシーンが安っぽく見える。これは自主制作映画にもいえることだが、カメラの撮り方ひとつでここまで変わるのかと、逆に驚かされる。俳優達にはまるで芸がないが、主人公のはつらつとした何の悩みもないクサい芝居は、ここまでくると愛くるしい。しょぼいBGM、適度なおっぱいポロリ、日本の特撮番組へのオマージュ、その他、A級映画では決して体験できない不思議がいっぱいである。